ゲーム音楽のコードの複雑性について
ピアノで曲を弾こうと思い、歌を左手でコード伴奏、右手でメロディみたいに弾くと普通に弾けるのですが、これをゲーム音楽でやろうとすると意外と苦労することってありますよね。
いや、無いって?
まあ、今日はゲーム音楽って意外とすごいぜっていう話をします。
コードって先に簡単に言うと、まあ、いわゆる伴奏ですね。
メロディに添えて、一緒に鳴らすと気持ちがいい音の事です。
なので、ピアノで曲を弾こう!!!って思ったら、まずは右手でメロディ、左手でコードみたいに弾くのが一般的に多いです。
ここから上級者になると、右手で和音とメロディを両方いっぺんに弾きつつ、左手はコードを分けて弾くアルペジオにしたり、ベースを弾く、あるいはベースとコードを交互に弾くなど、バリエーションを増やしてまあ、カッコよくなっていく訳ですよ。
で、まあ、ここでは初心者の話をさせて下さい。
左手でコードを弾くって事は、コードがずっと同じだと、左手も同じなので、弾くのが楽です
。
反対に、コードが頻繁に変わると、メロディと一緒に左手も変えないと行けないので、弾くのが大変になります。
なので、わりかし簡単なのは、左手が全音符でコードをじゃ~んって鳴らしている間に、右手でメロディをチャララら~んって弾くパターンです。
これが出来るのが、フォークソングとか、ポップスの昔(特に2000年以前)の歌は割かしこういう風に弾ける曲が多いです。
で、歌もよく知っているメロディで覚えている歌だと右手で弾きやすいです。
なので、メロディの憶えている曲は弾きやすい曲だとちょっとした勘違いが発生してしまいがちなのですが、実はゲーム音楽ってこの罠に見事にハマる訳です。
そう、ゲーム音楽ってすごく耳に残って憶えている音楽だと思うですよ。
特にゲーム中は何回もリピートしてかかっているし、ゲームの音楽を歌と同じように口ずさめる人って結構いると思うんです。
でも、ゲームの音楽は、歌と違って、いざピアノで弾こうと思うと、中々どうしたこれが、さらっとは弾けないのですよ。
ってのも、ゲーム音楽って冒頭で言ったとおり、実はすごく複雑に作られていて、一見して簡単なメロディ、覚えやすいメロディなのですが、そのメロディの覚えやすさとは裏腹に、裏で流れているコードたるや、ものすごい仕掛けが仕掛けられているんです。
話はちょっと飛んで、楽器の音色として最も美しいとされているのは何だか分かりますか?
諸説はありますがとりあえう人間が聴く音楽ということでは一応人間の声、声楽が一番美しい音色だと言われている説があります。
また、器楽(声楽以外の楽器)だと、すげー高いバイオリンとか、めちゃくちゃ巨匠が仕上げたピアノとか、チョーでっかいパイプオルガンとか、そういう話もあります。
まあ、何にしても、誰でもどこでも再現出来る音色ではないという事です。
なので、そういう素晴らしい音色で作られた音楽は、複雑な事をしなくてもその音色が届く音楽であれば、とても綺麗だと人は感じることが出来ます。
もちょっと分かりやすい例で言うと、歌が上手い人はバンドとかのドラムやベースで盛り上がったオケで歌うのも、ギターやピアノ一本で歌うのも両方上手いですし、どっちも聴いていて心地が良いですよね。
でも、歌のあまり上手くない人だと、バンドやオケと一緒に歌を聴くのは大丈夫でも、ギター一本、ピアノ一つで聴かせられる歌を歌うのって難しいですよね。
これって、歌が上手い人は歌の音色が綺麗なので、複雑な音楽でも単純な音楽でもどちらでも聴いていて気持ちがいいんですが、歌があまり上手くない人の歌声は音色がそれほどでもないので、複雑でない伴奏とか複雑でない音楽だと、聴いていて気持ちよく感じにくいって事なんですね。
つまり、音色が綺麗(希少価値のある音色とかその場、その人、その時代でしか再現出来ないみたいなレベル)だと、それに比例して複雑さが無くても綺麗に、心地よく感じられるが、音色が綺麗じゃない、言い換えると再現性があるオリジナリティのない音色の場合、複雑さががないと、心地よく感じにくいってことなんです。
ちょっと、無理くりっぽいですかね。
ゲームの音って、いつでもどこでも誰でもゲーム本体があれば再現可能じゃないですか。
そういう意味で、ゲームの音ってオリジナリティって低いんですね。
でも、ストラディバリウスとかスタインウェイ(寒くないウェイじゃないよ)とか69年レスポールとかミーシャとか、その楽器でないと出せない音ってオリジナリティが高いですよね。
(例は完全に個人的偏見と趣味です)
オリジナリティの高い音色を使った音楽は、ぶっちゃけ、一つの音を聴いているだけでも気持ちがいいんですよ。
奏でる音、曲が単調でも気持ちがいい。
反対に、ゲームの音ってまあ、ピコピコ音とかチープなイメージがある通り、ブーって同じ音をずっと聴いていても、それほど気持ちはよくないと思います。
(とはいいつつもファミコンの音源の音ってすごく良いんですよね。僕は結構好きです)
故にゲームの音で人を感動させるには、気持ちよくさせるには奏でる音、曲に一工夫がどうしても必要だったと言いたいのです。
そして、その工夫がコードのアレンジであったり、リズムの変調なのです。
そうすると、ジャラーンって一つのコードの中、歌は成立していまいますが、ファミコン音源はそうは行きません。
1回や2回程度ならもしかしたら、ワンちゃんそれでやり過ごせるかも知れませんが、ゲーム音楽は基本何度も何度も繰り返し流れています。
なので、ゲームの音が飽きないように、ちゃあんとコードを変え、リズムを変えなど手変え、足変え、聴いている人がずっと聴いていても嫌にならないようにしていたのです。
そして、聴いていて口ずさめるくらいメロディはすごく簡単そうに見せておきつつ、そのメロディは最大限に飽きさせないアレンジが施されていて、そのため、使うコードもコードの変化も歌に比べてすごく複雑になっているのです。
これが、口ずさめるのに、弾けないゲーム音楽の正体です。
また、ゲーム音楽はそもそもがピアノで弾くようには作られていなく、ましてや人が演奏する用には作られていないので、テンポが早いのに、音数がめちゃめちゃあるみたいなのも普通にあります。
また、ベースとメロディのリズムにしても、そもそもピアノで両手で弾く事は考えてないので、左手をベース、右手でメロディを両手で弾こうとすると、もうそのコンビネーションの複雑さに音大卒の人でもお手上げです。
いや、半分嘘つきました、音大卒の人でも、初見は可能ですが、ゲームと同じオリジナルテンポではほぼ無理です。
そう、あんなにめっちゃピアノ弾ける人でも、ゲーム音楽って意外と弾けないんですよ。
寧ろ、それくらい、ゲーム音楽って複雑だったり、難易度が高いんですよ。
なので、動画とかでもめっちゃゲーム音楽弾いている人いるじゃないですか。
ああいうのって、クラシックバリバリだから、ゲーム音楽も楽勝だぜーって(人もいるかもですが)訳でもなく、意外と苦労されて、影のものすごい練習の成果でアップされているってのが実情だと思います。
クラシック出身の人はDr.ストーンの大樹じゃ無いですけど、人並み外れた努力を努力と思わないで、当たり前な感覚でやってのけてしまうので、練習量によって難易度をクリアしてしまっているって感じだと思います。
まあ、それにしても、動画をアップされている方々は相当練習しているでしょうし、取り直しもしていると思うので、そういう影の努力の賜物で楽しませてもらているなって思います。
そんな感じにゲーム音楽って実は結構難しくって、複雑なんだぜ!って話でした。
意外と楽譜とかで見ると、現代音楽に近かったりするかなーとかって個人的には思いました。
今日はそんなところです。
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