ミュージシャンとゲーマーの意外な共通点
前回、プロゲーマーのウメハラさんの話をしたと思いますが、ウメハラさんの話を聞いていて、なんとなくなんですが、ミュージシャンの方も同じような状況何じゃないかなと思ったので、今日はそのことについて書いてみます。
ウメハラさん関連の動画を色々と見て、大会、獣道、家配信、インタビュー、結構ファンか?ってくらい見まくったんですが、一貫して彼の哲学というか、プロゲーマーとして行きていく中で、どうやったら生き残れるかということを常にいつでも最優先に考えている節があるなと思ったのです。
ゲームに勝つという意味での生き残りもそうですが、お金を稼げないと、実際の人生でも生き残れないじゃないですか。
そういう意味での生き残り方についても、彼はゲームだけでなく、現実世界の生き残り方について、かなりシビアに色んな見方で常日頃考えているなぁと感じられます。
ゲームを強くして大会に勝つというのはプロゲーマーとして、最もポピュラーで有名な稼ぎ方の一つかもですが、彼は、その賞金については運要素が強く、不確定なので、そこに依存しない稼ぎ方を重要視しています。
つまりは、どうやったら、自分という人間にスポンサードされるかという、企業目線での考えをしている訳です。
企業からスポンサードされれば、少なくとも契約期間中は、生活費や渡航費を気にせずゲームに集中することが出来ます。
これは、大会に望む上でとても有用なことで、後方の憂いをなくすことで、平常心で大会に臨める環境を自ら作っていくということになります。
背水の陣で最大パフォーマンスを出すという方法もなくは無いですが、それをやり続けると、恐らく人は精神が擦り切れて、長くは保たないと思います。
短期で稼ぎ尽くしておしまいって場合はいいのかも知れませんが、少なくとも格ゲーでの状況では、短期間で大会に勝ちまくって人生上がれるだけ稼ぐという額には中々達せないように思います。
また、全ての大会に勝ち続けるというのも、先程の運要素も入ってくるので、自分の精神を賭けて、サイコロを振って、もしダメだったら精神崩壊なんてサイコロ、誰も振らないんじゃないかと思うんですね。
でも、長期的に見て、生活の憂いを無くし、基盤をしっかりとした上で、毎回の大会にリラックスした状態で臨むというのは、逆説的な意味で大会に最大パフォーマンスで挑み続けられると思うんです。
背水の陣が最大パフォーマンス140の傾いたら、20とかまで落ちるピーキーなやり方だとすると、スポンサードで広報の憂いを無くすやり方は、100までは行かないまでも、80~95をコンスタンスに維持できるやり方なんじゃないかと思うんです。
ドラクエで例えると、魔神の斧で強引に行くか、稲妻の剣でコンスタンスにダメージを与えるかみたいな感じです。
しかも、魔神の斧には祈りの指輪みたいな(シレンのつるはし属性)何回か使ったら壊れるかもしれない縛りが付いています。
壊れるのは次に攻撃した時かも知れませんし、もうちょっと使い続けられるかもですが、何れにしても、いつかは必ず壊れるというのが約束されています。
なので、日常的な経済的安定というのは稲妻の剣を手に入れるが如く、何回攻撃しても壊れない、そして、安定的に過ごせるという安心を得られている訳です。
また、ウメハラさんは、スポンサードされる以外にも、業界への還元として、動画を使って技やゲームに対する研究内容の一部を配信したりしています。
そして、その動画の広告収入で安定した収入を得ています。
稲妻の剣とロトの鎧を装備した訳ですね。(イミフですかね)
さてさて、プロゲーマーについてなんとなく話したところで、今度はプロミュージシャンについて考えてみます。
プロミュージシャンというと、まず思うのはアーティストと呼ばれる人たちですね。
まあ、曲を作ったり作ってもらったりして、その音源を売って暮らすスタイルです。
ですが、このスタイルが出来る人たちというのは、CDの売上衰退と共に中々少なくなっているのが現状です。
次にスタジオミュージシャンとか、ライブミュージシャンなどの演奏でお金を稼ぐ人たちです。
スタジオミュージシャンはCDの売上衰退でもろに打撃を受けただけでなく、DTM(パソコンなどのデジタル機器で音楽を作る技術)の進化によって、色んな楽器の奏者達がCDのレコーディングに呼ばれる機会が無くなりました。
ライブ需要はそこそこあるみたいですが、それでも全体としてアーティストに関わる演奏の仕事は減ってきていると思います。
演奏の仕事は他にもバーやレストラン、宴会場などBGMの豪華版として演奏されるケースもありますね。
こちらは、いい意味でデジタルからアナログ回帰みたいな風潮があるので、生演奏を聞きたい需要はそこそこあるのかなと思います。がしかし、それに対して演奏する人の数がめちゃめちゃ多いですから、結局は需要過多で、中々安定的に仕事にありつける為には運と努力が必要になってくると思います。
後は音楽教室の先生なんかも音楽演奏家をミュージシャンと呼ぶのであれば、同じくくりで言ってしまっていいかなと。
こちらに関しては、前回ピアノ講師さんたちの月給が薄給だと言ったように、経営者側の搾取により、非常に業界全体が厳しい金銭状態だと言えますね。
さてさて、プロゲーマーとプロミュージシャン、並べて言いましたが、なんでこの2つを並べたかと言うと、実はゲームも音楽も実社会において、必須では無いんですよね、存在自体が。
つまりは、ゲームも音楽も、ぶっちゃけ極端に言うと、無くても人間は生活することが出来る訳です。
もっというと、ゲームも音楽も無縁で死ぬまで暮らしている人すらいるかも知れません。
(これはかなり極端な例かもですが、、、)
ですが、ゲームも音楽も無くてもいいんだけど、あったらすごくいいよねってモノという意味で、なんか似ているなと思ったんですね。
そして、次に、彼らの技術ってのも、結局はマネタイズされる仕組みがない環境、時代だったら、無用の長物とされてしまうということです。
ゲームは今でこそeスポーツと呼ばれるようになり、少しずつ注目ともてはやされが出てきましたが、一世代前だと、ゲームがめちゃくちゃ上手くても、ぶっちゃけ何の足しにもならないし、寧ろ、批判の対象にすらされてしまいましたよね。
音楽もまた、アリとキリギリスであるように、バイオリンを弾き続けたキリギリスは、アリに音楽を奏でた対価を受け取ること無く餓死してしまうじゃないですか。
つまり、音楽家もゲーマーと同じように、パフォーマンスしてお金に変える仕組み、例えばコンサートとか、教えるだとか、そういった環境がないと、結局は無用の長物とされ、どんなすごい技術も、意味がない感じになっちゃうということです。
ゲームは音楽に比べて歴史は浅いですが、音楽にしても深い歴史はあれど、音楽家たちの音楽を奏でて稼ぐ仕組みというのは、色々な変化を受けて変わって来たと思います。
コンサート、ライブ、という実際に足を運んでもらう形式から、レコード、CD、mp3など、媒体を買ってもらって聴くスタイル、などなど。
それから、昔から金持ちの教養、娯楽として優れた音楽家達は貴族達に教えてきました。
今は教養を身に付ける為に音楽を習う貴族と優れた音楽家たちのバランスは完全に優れた音楽家たちの方が多くなってしまっているので、まあ、あぶれますし、貴族ではない一般家庭ですと、まあ、音楽家を食わせてあげられるほどお金は渡せませんから、結局音楽家たちが食べていく状況は厳しくなっていますよね。
また、音楽家とひとえにいっても、色々な人達がいます。
音大を出るような専門知識と技術を受けてきた人たち、独学で覚えて演奏や編曲が出来るようになった人たち、難しい演奏は出来ないが、自身の表現として歌を作ったり出来る人たち、コンピュータを使って音楽を作る人たち、などなどです。
さてさて主に便宜上、音大卒をクラシック系、独学の人をジャズ系、曲作る人を弾き語り系、コンピュータで作る人をDTM系と呼ぶことにします。
クラシック系の人たちは、楽譜に強く、初見に長けていますが、コードやアドリブが非常に苦手な人が多いです。
反対にクラシック系以外の人たちは、一般的には楽譜が得意な人は少ないです。
ジャズ系の人たちは、当たり前ですがアドリブが得意で、主に新しい曲を作曲するよりも、既存曲を崩して弾くことの方が得意な人が多いです。
弾き語り系は単純なメロディ作曲は得意ですが、楽器の演奏はコードを弾く事に特化していて、楽器の演奏家としての部分が弱い人が多いです。
DTM系は楽器の演奏は半々で、出来る人もいますし、反対に全く出来ない、弾き語り系の人よりも演奏技術は無いみたいな人も居なくはない感じです。しかし、彼らは作編曲能力、コードに対する理論が非常に優れている場合が多いです。
クラシック系は楽譜に強く、ジャズ系はスケールに強く、弾き語り系はメロディ作成に強く、DTMはコード理論に強いといった感じですね。
んで、クラシック系とジャズ系は演奏技術が強くて、反面オリジナル楽曲を作る能力は弱い。(人が多い)
弾き語り系とDTM系は演奏技術は拙い(クラシック、ジャズ系に比べると)けど、オリジナル楽曲を作成する能力は強い(人が多い)。
みたいな感じかなと思いました。
やあ、話が脱線しまくっている。
これね、ここまでの音楽の話をゲームにつなげるんですけど、ゲームって格ゲーだけじゃ無いんですよ。
んでもって、プロゲーマーってさっき音楽家を大きなくくりで考えたようにゲーマーを大きくくくると、ゲームをプレイすることを使って稼いでいる人は、プロゲーマーと呼んでしまって良いのかなと。
そうすると、格ゲーのスポンサードされるプレイヤー以外にも、格ゲーじゃないゲームでスポンサードされるプレイヤーとか、スポンサードされてないけど、動画配信で食べている人とかもある意味ではプロゲーマーと呼んでいいと僕は個人的には思うんです。
縛りプレイとか、昔の裏技検証とか、今、ニコニコ動画を起点に、色んなゲームに関する動画配信あるじゃないですか。
それでね、さっきの音楽のクラシック、ジャズ、弾き語り、DTMみたいな4種類をゲームであげるますと。
格ゲーで大会やらなにやらで個人戦のゲームで稼ぐ人を格ゲー系、チームアクションゲームでチームを組んで大会やらなにやらで稼ぐ人たちをチーム系、ゲームにまつわる動画を作って、それを配信して広告収入を得る人たちを動画系、自身がゲームをプレイしている様子やら雑談も含めて配信して広告収入を得ている人たちを配信系と呼びます。
分かる人は分かるかもですが、さっきの音楽でのクラシック、ジャズ系に相当するのが、格ゲー、チーム系で、弾き語り、DTM系に相当するのが、動画、配信系ですね。
つまり、ゲームのテクニック的なのは格ゲー、チーム系がすごいんですけど、動画、配信系はテクニックはなくても、魅せるコンテンツを作るのが上手いみたいな。(あ、でも一部TASさん動画とかはめちゃめちゃテクニックすごいですから、やっぱり一概には言えませんね。)
それでね、何が言いたくて今書いているかと言うと、前にも言ってたり、冒頭でも書いてた通り、ウメハラさんの言っている生き残り理論って、これゲーマーだけでなく、ミュージシャンにも言えるんじゃ無いかって思ったんですよ。
ゲーマーはまあ、元々食うための仕組みが整備されてないってか、そもそもは無かったので、どうにかして生き残る手段を考えざるを得ないと思うのですが、ミュージシャン(音楽家)達も、今までの惰性で生きる選択をしていると、最終的には音楽では食えなくなる訳ですよ。
なので、音楽家達も生き残るために、ウメハラさん的な生き残り思考を考えていく必要がるのかなと。
それで、ウメハラさんが強く訴えているのは、まず、技術があること上手いことはプロなのだから前提ですが、それだけでなく、業界に対する愛が必要だと言っているんです。
つまり、彼の場合はどうやったらプロゲーマーを取り巻く業界をいい方向に変えていけるのか?どうしたらプロゲーマーを目指す人たちが増えてくれるか?どうしたらプロゲーマーがもっと安定的に稼げる仕事になり得るのか?みたいなことを考えている訳です。
これと同じように、音楽家達も、自身の所属する業界、音楽業界をどうしたらより良く出来るのか?どうしたら、目指す人が増えるか?どうしたら安定的に音楽が稼げる仕事になり得るのかって考えながら音楽活動している人って、多分皆無なんじゃないかなと。
まあ、漠然と音楽楽しいよ、みんなもやりなよ的な感じや、これだけ出来るとこんなに楽しいから良かったらここまでおいでよって人たちは数多くいると思います。
でも、業界として、産業として、考えた時に、そこに感謝をして、還元していこうと考えている音楽家は果たしているのだろうか?と思ったんです。
そこいくと、みんな自分はとりあえず食う分を確保出来たから、あとはまあ、出来る範囲で誰かに教えられる部分だけ教えてやってもいいかな、とか、自分だけ逃げ切れる分稼げたからもういいかな、強いて言えばボランティアとかチャリティー程度の社会貢献はしよう、みたいな程度じゃないかなと。
勿論、何も社会貢献しない人よりは全然立派なんですけど、でも、音楽業界をちゃんと稼げる業界にしていこうみたいなそんな流れで考えてみてもいいんじゃね?って思ったんです。
だって、やりたい人が過多なのは分かりますけど、だからといって、ほんの一握りだけが成れるけど、それもかなり運要素が強すぎるみたいなのって、なんかちょっと業界として未成熟過ぎません?
プロ棋士とかプロ野球みたく、確かに成れるのは一握りかもですが、ちゃんとプロになったら、なったである程度の整備された稼げる仕組みってなんかちゃんとあった方がいいんじゃないかなぁとか思ったです。
そうそう、前に書いたピアノ、音楽講師のお給金が少ないって事を知ってから余計にそう思いましたし、ウメハラさんの動画を見ていて、なるほど、これは同じことがこっちでも言えるんじゃね?って思ったんです。
いやー、だからといって、別に僕がどうこう言っても仕方がないのかも知れませんが、まあ、先の問題提起じゃないですが、こんな風に考えるのもどうですか?とただただ、言いたかったのでした。
疑問に思ったんならお前がまず、何か考えてやれよって話ですよね。
まあ、うーん、なんでしょう。
とりあえずの締めにならない締めとして、僕は個人的にゲーム業界も音楽業界も良くなって欲しいと思います。